2024年11月14日
【海外派遣】Evian Championship Junior Cup 2024 詳報【エビアン2024】
9月16~19日▽フランス・エビアン、エビアンリゾートゴルフクラブ(男子6348ヤード、女子5723ヤード、パー71=OUT35・IN36)▽参加国=18ヵ国▽参加選手=男子36名、女子36名▽JJGA派遣選手=岡田凛空(中1)、近重怜奈(中2)、吉行アムロ(中3)、山本智亜紗(中2)▽派遣選考試合=スプリングジュニアゴルフチャンピオンシップ
今年18回目を迎えたアムンディ・エビアンジュニアカップ。舞台となったエビアンリゾートゴルフクラブは古江彩佳プロが優勝を果たした舞台である。本大会には当協会主催のスプリングジュニアゴルフチャンピオンシップ2024の東決勝と西決勝でそれぞれ上位を勝ち取った、岡田凛空、近重怜奈、吉行アムロ、山本智亜紗の4名が派遣された。吉行は昨年に続き2年連続の出場となった。
大会は3日間競技で、個人戦と国別の団体戦で順位を競う。フランス到着時は初冬を思わせる寒さであったが、日程後半になるにつれて天気が回復し、暖かい日差しが選手たちのプレーを見守った。
⛳1日目
トップスタートから4組連続で日本人選手が出場。吉行、近重、岡田、山本の順番でスタートした。スタート時は曇天で気温も15度とかなり寒く、時間の経過とともに太陽が顔を出し徐々に暖かくなってきたが、再び雲がかかると寒さが戻ってきた。
【岡田】 「優勝を狙いに来た」と気合十分で臨んだ岡田は、8時52分に1番ホールよりスタート。ところがうまくギアがかみ合わず、1番、2番とボギーをたたく。続く3番、4番ではパーをとり調子に乗れるかと思いきや、5番、6番で再びボギーをたたき、続く7番では焦りが生じたかティーショットを大きく右へ曲げてOBを打ち、トリプルボギーにしてしまった。8番でバーディー、9番でパーを奪取したが前半は6オーバー。
後半は気持ちを切り替えてプレーした出だしの10番、気合でバーディーを獲得したが、続く11番、12番、13番とまたもやかみ合わずスコアを落とす。14番、15番をパープレー、16番、17番をボギー、ラスト18番で何とかパーであがったが終始安定せず41・41の82でホールアウト。初日は15位という結果で終わり、ホールアウト後も懸命に明日に向けた修正を行った。
【近重】 「この大会のためにドライバーとパターの練習に力を入れてきた」と語る近重は、8時41分に1番ホールより女子では最初の組でスタート。気合の入ったフルスイングのティーショットは気持ちとは逆に飛んでいく。1番をボギーとしたことに焦りが生じたのか、続く2番ホールではまさかの+4。ここで流れを断とうとした近重、3番、4番ではパーセーブに成功、しかし5番ではグリーンを狙ったボールが惜しくも池に吸い込まれスコアを落とす。6番、7番を再びパーセーブ、8番でボギーをたたくが、9番をバーディーとし前半は7オーバーの42で折り返す。
前半最後のホールでバーディーをゲットしたことで勢いに乗り、後半は持ち味を発揮し安定したプレーを見せる。11番と14番をバーディーとし、その他のホールは全てパーであがり明日につながるホールアウト。42・34の5オーバー76と初日は5位タイで入賞を狙える位置から2日目に向かう。
【吉行】 「今年こそ優勝を狙う」と8時30分に1番からトップの組でスタート。1番は昨年と同様、ボギースタートとなったが、6番まで着実にパーセーブし上位をうかがう。その後7番、8番、9番と出入りはあったがイーブンで前半を折り返した。
「1番でボギーを叩いたけれどバウンスバックできてよかった」と反省をもとに後半スタート。10番ではパーセーブしたが、11番、12番でティーショットを曲げてしまい連続ボギー。13番から持ち直しパーで耐えたが、16番で痛恨のダブルボギー。後半は4オーバーでホールアウト。初日は36・39の75、4位タイで1位と6打差からのスタートとなった。
【山本】 「アイアンの精度やパターの傾きなどを調整してきた」と難コース対策をしてきた山本は9時3分にスタート。1番で惜しくもバーディーチャンスを逃しボギー。続く2番では他の選手が苦戦する中バーディーを決め、その後もパープレーが続き初日とは思えないほど順調なスタートをきった。7番でバーディーを決め、1アンダー34で折り返した。
後半も順調にパープレーで進め、13番までは好調だったが14番でボギー。続く15番でも2打目が木に引っ掛かりダブルボギーとなる。流れを断ち切れず16番でもダボ、17番でもボギーを叩き後半6オーバーでホールアウト。結果34・42の76で上がり、近重と同じ5位タイで初日を終えた。「最初はショットとパターが良かったけど後半は悪くなっていった」と話し、2日目に向かって切り替える練習に精を出していた。
【団体戦】 団体戦は各チーム上位3選手のスコアで競う。日本からは75の吉行と76の近重、山本のスコアが採用され、227の4位と上位からのスタートとなった。1位は215でフランスが立ち、2位に221でアメリカ、3位に226でスペインが続いた。3位とは1打差の入賞圏内であり、この結果に選手たちはより一層熱が入った。
⛳2日目
前日スコアを大きく落としてしまった岡田のみ前半の組でスタート。あとの近重、吉行、山本の3人は正午以降の組で順番にスタートした。前日に比べて寒さも風も比較的穏やかになった。
【岡田】 「前日大きくオーバーしてしまった分を取り返したい」と燃える岡田は、9時36分にスタート。2番でボギーを叩くも、その後は好調を維持し本領発揮。4番と5番でバーディーを奪取、その後も9番までパーを続けた。その結果昨日とは打って変わり1アンダー34で前半を折り返した。
後半に入り10番でダブルボギーとするも、11番でバーディーを取り悪い流れを断ち切った。その後順調にパープレーを続け、14番ではバーディーを奪ったが、17番で惜しくもボギーをたたき、後半は1オーバーとなり、34・37の71とイーブンパーでホールアウト。「ショットが良くてバーディーを取ることが出来た。前半4番と5番で連続してバーディーをとれたおかげでその日の流れが良くなった」と満足そうに話す岡田はトータル153の13位タイで最終日を迎える。
【近重】 「前日より良い成績を」と意気込む近重は12時21分にスタート。1番をダブルボギーとしてしまうが、その後、気持ちを切り替え2番でパー、3番でバーディー、4番でパーと順調にスコアを伸ばす。5番は大きな池のあるホールで苦手意識が強かったが見事パーをもぎ取った。続く6番ではパターの距離感がつかめずグリーンから外に出してしまいボギーを叩くも、7番、8番はパー、9番でバーディーをとり1オーバー36で折り返す。
後半は出入りが激しいゴルフとなった。10番パー、11番ボギーのあと14番から17番までバーディーとボギーを繰り返した。最終18番をボギーで終えて2日目は36・39の75で終了。「ドライバーとパターの距離感がうまくつかめなかったが、14番と16番でチップインのバーディーを決められたことはうれしかった」と1日を振り返った。トータル151でこの日も5位だったが、1位のアメリカ代表のサマンサとは11打差、3位の選手とも5打差となり最終日へ向けて決意を新たにした。
【吉行】 優勝に近づくことを目標に、吉行は12時32分に拍手喝采のスーパーショットで1番をスタート。その後4番までパーとバーディーを繰り返し順調に進んだかと思いきや、5番ホールで池に入れてしまい、2アンダーから一気に1オーバーへ。救済の仕方を英語で聞くことに戸惑いながらも、その後は順調にパープレーを続け9番でバーディーをゲット。前半は苦戦しながらもイーブンの35とした。
後半は10番をボギーとするも、11番、12番で連続バーディー、13番でボギー、14番から18番まではパーを並べて、後半を終え、35・35の1アンダー70で上がった。「5番でトリプルを打ったのは痛手だったけど、バーディーを5つ取れたことは良かった」と落ち着いてプレーできた様子がうかがえた。吉行がアンダーで上がれたことが功を奏し、トータル145で一気に1位タイに上り詰めた。
【山本】 初日前半のように好調でありたいと願いながら11時59分にスタートした山本。出だし1番、2番はパーをセーブしたが、3番ボギー、4番ダブルボギーでスコアを崩し後退してしまう。5番は池でスコアを落とす選手が多く鬼門であったが、この日も山本は無難にパーを決めた。前半はその後7番でボギーを叩くが、8番では拍手が上がる好プレーもあり、バーディーは出なかったもののパーセーブを続け4オーバーで折り返した。
しかしその後復調せず、10番と15番でボギーを叩き、後半は2オーバーとなり2日目は39・38の6オーバー77で終了した。「序盤からうまく波に乗れなかった」と嘆く山本はこの時点でトータル153、個人順位が7位となった山本は、最終日に向け集中力を高めていた。
【団体戦】この日は70の吉行、71の岡田、75の近重のスコアが採用された。吉行、岡田の成績が良かったことから、団体戦は日本が2日間トータル441で3位に浮上した。昨年王者のアメリカが2日目でトップに返り咲き、2位にフランスという構図になった。日本は昨年とは違い表彰台上位を狙える位置に付けており、選手達の士気も頂点に達して最終日が楽しみな状況となった。
⛳最終日
2日目でスコアを持ち直した岡田も合流し、全員が正午前後からのスタートとなった。雲がなくなりかなり暖かい一日となった。
【岡田】 2日目同様の実力発揮なるか。「自分自身のプレーを忘れずに出し切る」と意気込んだ岡田は11時4分にスタート。1番をパーとし、2番でバーディーを取ったが、3番ではセカンドショットをミスしてトラブルになり、+4の大たたき。その後パーで持ちこたえるも6番と8番でボギーを叩き前半を5オーバーで折り返した。
後半は11番でOBを打ってしまうが何とか持ち堪えてボギーとした、その後16番までパープレーを続け、17番バーディ、18番ボギーとし、後半2オーバーのトータル6オーバーでホールアウト。最終日は40・37の77であがり、2日目以降の猛追は届かず3日間230で15位となり、世界での活躍を夢見る岡田の2024年エビアンは幕を閉じた。
【近重】 「楽しく自分らしいプレーをする」ベストを尽くすと誓った近重は12時21分にスタート。3番まで安定したパープレーを見せていたが、4番ダボで後退。5番でバーディーを決めるも6番でもダボをたたき、なかなか調子に乗れず苦戦。しかし7番から9番まで再度持ち直し、3オーバーの38で前半を折り返した。
この日は前半のスコアからは想像できない程ショットが安定しており、後半はパーセーブを連発した。13番と16番でボギーを叩くも、11番ではバーディーを決め、後半1オーバー、トータル4オーバー75でホールアウト、3日間では76・75・75の226で5位と入賞は逃したものの、近重はエビアンへのリベンジを心に誓った。
【吉行】 目指すは優勝でも「いつもどおりのプレー」を意識して吉行は12時32分にスタート。平常心を心がけたプレーは好スコアを出す。前半をパープレーで突き進む吉行。5番でボギーを叩くも、7番と8番でバーディーをとり、1アンダー34と好スコアで折り返す。
しかし後半出だしの10番でグリーンに戸惑い3パットを喫してしまう。12番でもボギーを叩いたが、その不満を払拭するかのように13番でピンを狙った110ヤードのセカンドショットは、そのままカップへ吸い込まれチップインイーグル。このショットに現地のパトロンも大いに沸いた。
これで勢いに乗った吉行は14番でもバーディーを取り、最終18番はパーで締めくくって後半は1オーバー、最終日は34・37のイーブンパー71で上がり、3日間トータル75・70・71の216で2位タイという結果になった。1位はポルトガルの選手でわずか2打差。貪欲に優勝を目指し、惜しくも2位タイとなったが、諦めない気持ちが世界で2位という素晴らしい結果に結びついた。エビアンの歴史に名を刻んだことは紛れもないだろう。
【山本】 泣いても笑ってもこの日が最終日。「アンダーを出して最終日を締めくくりたい」そんな思いを胸に秘め山本は11時59分にスタート。出だし勢い余って1番と2番でボギーを叩いてしまうが、その後5mや7mのロングパットを一撃で仕留めパーセーブしていくが、7番、9番でボギーを叩き前半4オーバー39で折り返す。その後12番でバンカーに入れ、万事休すかと思われたが起死回生のチップインバーディーを決める。その後は大きく崩れる事無く、後半はイーブンパー36、この日は75で上がった。3日間では76・77・75の228で7位の好成績を獲得し、またいつの日かエビアンでプレーする事を心に誓った。
【団体戦】最終日、吉行71、近重の75、山本の75が採用され、トータル664の3位入賞という素晴らしい成績を修めた。1位はアメリカで644、2位はフランスで657、4位は671でイタリアという結果になった。昨年に続き連覇となったアメリカは個人でも女子の1位と3位、男子の3位を飾った。フランスも個人戦では女子4位、男子2位と6位につけた。日本はイタリアの猛追を逃げ切り7打差をつけて3位にランクインした。
選手コメント📣
【岡田選手】
アプローチの芝がめっちゃ難しく感じた。他国の選手はバウンスの使い方が上手かったので見習いたい。今後の課題はコースによって戦略を立てたり、打ち方を変えられるほどの技術を身に着けていくこと。ゴルフがもっとうまくなりたい。プレー中だけでなく休憩中にも他国の選手と交流できた。今後もいろいろな国の選手と交流したいと感じた。
【近重選手】
初めての海外大会。洋芝のラフは日本のラフより難しかった。また、グリーンが大きく傾斜が強かったのでロングパットの距離感が合わなかった。いつも以上にコースを攻略するために集中力を使いました。この難しさから学んだことを生かしてまたリベンジしたいです。外国語のコミュニケーションももっといろいろな話がしたいので、英語だけでなく様々な国の言葉を話せるようになりたいと思った。
【吉行選手】
逆転されて悔しい。去年も挑戦したけれど、やはり芝が違うことに慣れない。コースも狭くてグリーンが難しかった。今後の課題は取らないといけないところをしっかり取れるようになること。コースの芝の状況で打ち方を変えなければいけないので、打ち分ける技術を身に着けていきたい。他国の選手とも少しだけ喋れて仲良くなれたので楽しかったです。
【山本選手】
フェアウェイの傾斜、グリーンのアンジュレーションが日本にはない強さだった。エビアンのコースは全ホール工夫して作られていて、またリベンジするために戻ってきたい。女子はプロになってもエビアンで試合があるので、中2で経験できてよかったです。英語はジェスチャーや慣れで何とか乗り切ったところはあったけれど、もっとコミュニケーションをとるためにも英語力が必要だと強く感じました。