2023年11月14日
【海外派遣】Evian Championship Junior Cup 2023 詳細
9月19~21日▽フランス・エビアン、エビアンリゾートゴルフクラブ(男子6348ヤード、女子5723ヤード、パー71=OUT35・IN36)▽参加国=17ヵ国▽参加選手=男子33名、女子34名▽JJGA派遣選手=沖田雫(中2)、寺本朱利(中2)、吉行アムロ(中2)、佐藤涼音(中2)▽派遣選考試合=スプリングジュニアゴルフチャンピオンシップ
今年で17回目を迎えたエビアンチャンピオンシップジュニアカップ。14回の2019年を最後に3年ぶりの出場となった。今大会は3年間のうっ憤を晴らすべく日本代表の4名が、戦いの舞台となる「エビアン」に臨んだ。大会は3日間開催され、競技は個人戦と国別対抗戦で優勝を争う。コースはラフが洋芝で深く、また、グリーンの起伏やうねりも大きく、永年ジュニアの脅威となって苦しめてきた。今回はその難コースに沖田、寺本、吉行、佐藤の精鋭4名が日本から挑んだ。5月に開催されたスプリングジュニアで実力を発揮し、選ばれた優秀な4名の選手に個人戦でも上位進出の期待がかかる。大会は悪天候により、練習ラウンドが中止となる異例の事態で幕を開け、更に激しい気温の温度差も重なるという過酷な条件での開催となった。
⛳1日目
【沖田】 「日本代表の自覚をもってプレーする」という強い気持ちで沖田が、8時52分に1番ホールから日本人最初の選手としてスタートした。意気込みが先行したのか1番、2番と連続でボギーをたたく。3番パーで復調したかと思いきや4番、5番と連続でボギーを叩き、緊張からか前半で6オーバーと苦しい展開が続いた。後半は出だし3ホールをパーでしのいだが、13番、14番と連続でボギーを打ってしまう。しかし、15番ではOBを打ちながらも何とかボギーで収めた。苦戦しながら16番から最終18番までの上り3ホールをしっかりパーでまとめ、41・39の80でホールアウト。「いろんな経験を積むんだ」と2日目を見すえる沖田の目には闘志がにじんでいた。1日目は苦しみながらも21位タイで終った。
【寺本】 「優勝」の二文字を胸に秘め、1番ホールに快音を轟かせ、9時3分にスタートした。やはり初めてのコースに戸惑ったのか、正確無比なショットに若干のブレが生じ、ボギースタートとなった。その後もショットが安定せず、4番でダブルボギーをたたき、更にこの日8番、9番でも連続ボギーとショットとパターが安定せず、前半を5オーバーで折り返す。後半は気持ちを切り替えて本領を発揮。10番から5ホール連続でパーをセーブし、15番のロングではティーショットのミスからボギーをたたくも16番ショートのティーショットではピン横40センチにつける。ここでバーディーをゲットして波に乗り、最終18番まではパーで乗り切った。後半もイーブンパーで上り、明日につながるスコアでフィニッシュ。トータル5オーバー76の14位タイと上位をうかがう出だしとなった。
【吉行】 「いつも通りを心がける」と12時10分に1番から元気にスタートした。ところが、いつもの正確なショットはいきなり右のバンカーへ、何とかリカバリーはしたものの難しいグリーンに苦戦、ボギースタートとなった。その後、復調して5番、9番とボギーをたたくも前半3オーバーで折り返えす。後半はいきなり10番でティーショットを林に打ち込んでしまうが、ここから得意のアプローチが火を噴き、2打目を林の中からグリーンエッジまで運ぶ120ヤードのスーパーショットを披露。とどめの一撃は初バーディーとなるチップインバーディーを奪い、パターを握ることもなくホールアウトした。11番も「パーセーブの勢いのまま行く!」と意気込むが12番で痛恨のダブルボギーを叩く。しかし、焦ることもなく気を取り直し、最終18番までパーセーブで何とか切り抜けた。「難しいグリーンだったけど、アプローチとパターで耐えた」と吉行。後半は1オーバー38・37の75とし、10位タイと日本人では最高位のスタートとなった。
【佐藤】 「優勝する気持ちで来た」と息巻くも他国の選手と和気あいあいムードでリラックス、海外とは思えない程のコミュニケーションを取りながら9時03分にスタートした。順調かと思われたが、出だしは意に反してボギー発進。3番のパー4でOBを打つも打ち直しの2打目が見事チップインで何とかパーをセーブ。このまま勢い良く行けるかと思いきや、次の4番ではダブルボギーを叩いてしまう。しかし、7番ロングで見事2オンに成功し、3mの難しいパットをキッチリ沈めて初のイーグルを奪った。しかし、続く8番ではダブルボギーを叩いてしまう。初めてのコースとはいえ、出入りの激しい前半を何とか3オーバーの38で折り返した。後半も流れは変わらず、10番でバーディーを奪うも13番ボギー、14番でダブルボギーと崩れるが、15番、16番と連続でバーディーを奪う。最終18番はボギーとなったが、後半1オーバーの37でまとめ、トータル75でホールアウト。「7番のイーグルからパターが入るようになった」と荒れたスコアをパターでカバーし、佐藤は12位タイとまずまずの滑り出しとなった。
【団体戦】 団体戦は各チーム上位3選手のスコア合計で争うが、日本からは75の吉行と佐藤、76の寺本のスコアが採用され、226の8位と順位も中間位置からのスタートとなった。首位は3人のトータルスコア213で唯一イーブンパーをたたき出したアメリカだ。
⛳2日目
【沖田】 アンダーのスコアを出して調子に乗り、上位を狙いたい沖田は11時26分にスタートした。しかし、出だしの1番から調子に乗れず、ティーショットを曲げてしまうボギースタート。続く2番パー3をボギーとすると、3番でもティーショットを左に曲げてOBとなり、痛恨のダブルボギーとなる。開始3ホールで早くも4オーバーとなる悪い流れとなった。その後、気持ちを切り替えて4番、5番を無難にパーセーブ。このまま順調に行くかと思われたが、6番からティーショットが狙ったところに届かず、3連続ボギーをたたいてしまう。前半、不安定なショットに苦しみながらも何とか7オーバーで折り返した。後半も自慢のドライバーが全く安定せず、スコアメイクに苦しんだ。出だし10番をボギーでスタートし、13番からも3連続ボギーを叩く。17番ではグリーン周りの傾斜がきつく深いラフにつかまり、ダブルボギーとなった。後半6オーバーと自慢のショットが精彩を欠く中、最後まで諦めず何とかパターでしのぎ、42・42の13オーバー84でホールアウト。順位を2つ落として23位に後退した。
【寺本】 前夜から体調を崩し、無念の棄権となった。
【吉行】 ひとつでもスコアを伸ばしたい吉行は9時58分にスタート。ティーショットを1日目と同じく右のバンカーに入れてしまい、ボギー発進となった。1番を含め出だしの3ホールは全てボギーとなった。4番、5番とパーで切り抜けるが、6番でボギーを叩く。その後7番でバーディーを奪い、挽回するが、続く8番をボギーとしてしまった。吉行はショットが安定せず、なかなか勢いに乗れないまま前半4オーバーで折り返した。後半に入ると出だしの10番、11番をパーで乗切ったが、12番でダブルボギーをたたき、その後も続く2ホールを連続でボギーとしてしまった。ここからは最終日につなげたい吉行は獅子奮闘し、15番でバーディーを奪う。この後上り3ホールをパーセーブし、39・39のトータル78で上り、最終日に望みを繋いだ。順位は4つ下げて14位に後退。
【佐藤】 ドライバーの精度に納得がいかず、何とかしたい佐藤は9時47分にスタートした。出だしはパーセーブで好調かと思いきや3番でボギー、その後4番でバーディーを奪い、前日を彷彿させる出だしとなった。6番でバーディーを奪うも8番でボギーを叩き、続く9番でバーディーを奪う出入りの激しいゴルフを展開。前半を1アンダーの34でしのいだ。後半勢いに乗れるかと思ったが、11番で足元をすくわれダブルボギーをたたく。14番でボギーを叩くも15番はバウンスバックで即バーディーを奪う。上り2ホールの17番と18番を連続ボギーとし、後半は精彩を欠いた。結局、この日は34・39のトータル3オーバー74でホールアウト。バーディーはたくさん取れたけどスコアがもうひとつ伸びなかった佐藤。それでも順位を5つ上げ、単独7位と表彰台を狙える位置につけた。
【団体戦】 日本は74の佐藤と78の吉行、84の沖田のスコアが採用され、462の8位で順位はかわらず、1打差でイタリアが背後に迫っていた。アメリカの首位はゆるがず、2、3位争いが混戦模様となった。
⛳最終日
【沖田】 「有終の美を飾る」と気持ちを新たにし、9時36分に沖田がスタートして行った。1番のティーショットで快音を轟かすも右のバンカーに掴まり、ボギー発進となった。しかし、ここから沖田の猛チャージが始まる。本領を発揮して2番を無難にパーをセーブすると3番、4番で連続バーディーを奪う。しかし、続く5番と7番でボギーをたたいてしまい失速。9番もダブルボギーとして前半3オーバーで折り返す。この時点で万事休すかと思われたが、今日は昨日までの沖田と違い、後半は「コースマネジメントが上手く出来た」という通り、気持ちを前向きに切り替えたらショットが安定し、15番までは難なくパーをセーブ。惜しくも16番、17番と連続ボギーをたたいたが、後半は2オーバーにまとめ38・38のトータル76でホールアウト。最終日にやっとベストスコアをたたき出し、順位も2つ伸ばして21位にランクアップ。この厳しい戦いを終えた。
【吉行】 2日間のスコアに納得のいかない吉行は、ベストスコアを誓い10時42分にスタートした。1番のティーショットは「この日の流れを変えるいい最高のショットだった」というくらい、正確にベストポジションへ運び、パーで上がった。勢い付いた吉行は6番ではバーディーを奪い、7番でボギーをたたくもその後は持ち直し、前半好調のままイーブンパーで折り返した。後半の12番でボギーを叩くも続く13番ではバウンスバックで直ぐにバーディーを奪い、イーブンへと戻す。しかし、この後苦難が訪れる。16番でグリーンの左にフェードで狙うも引っかけてしまい、ボールは無残にも池へと吸い込まれ、続くアプローチもグリーンに乗らず、痛恨のダブルボギーを叩いてしまう。続く17番をボギーでしのぎ、後半は何とか3オーバーでまとめ、誓い通りベストスコア35・39のトータル74でホールアウト。順位も3つ上げて11位タイでフィニッシュし、思い出のエビアンを後にした。
【佐藤】 女子の3位から7位の佐藤までは4打差でひしめく混戦模様となった。「絶対3位に入賞する」という強い気持ちでスタートした佐藤。同組には3位タイでフランスのランドグラフ ルイーズ・ユマ、5位タイでチェコのクリスティーナ・クヴェトノヴァがいる。3位を狙う佐藤にはバーディー量産が必須条件となるが、最終組のひとつ前、11時59分にスタートした。佐藤は気持ちが先行したのか1番でボギーをたたいてしまう。対するユマはパー、クヴェトノヴァにバーディーを奪われ先行されてしまった。緊張が張り詰める中、佐藤は3番でボギーをたたき、同組の二人はパーで上がると更に差がついてしまった。しかし、ここから佐藤は獅子奮迅の勢いで猛チャージを開始。4番以降は8番まで上位陣が崩れていく中、佐藤は唸るショットと安定したパターで確実にパーをセーブする。前半最終ホールの9番ではイーグルは逃したもののバーディーで上り、2人の差を詰め、1オーバーの36で折り返した。佐藤の勢いは後半に入っても衰えず、いきなり10番でグリーン脇からチップインバーディーを奪い、2人にプレッシャーをかける。ユマとクヴェトノヴァが崩れていく中、11番以降、佐藤は着実にパーを重ねて差を詰めていった。そんな中、3位争いは15番でバーディーを奪い、復調したフランスのユマと佐藤との一騎打ちの様相に展開に。ユマを3打差で追う佐藤は最終18番パー5のロングホールへ向かう途中。傍らには先にホールアウトした沖田、吉行が15番ホールから応援に駆け付けていた。「二人が来てくれてから長いパットが入るようになった」と心強い味方を得た佐藤はティーショット、2打目とスーパーショットを連発し、見事ピンまで8mの好位置につけた。グリーン上の佐藤が放った3打目のパター、ボールはカップをかすめ惜しくもイーグルにはならなかったが、バーディー締めでホールアウト。後半は2アンダー34をマークした。本人のベストスコアで最終日のベストスコアでもある36・34のトータル70で終了。結局3位争いは最後まで3打差が詰まらず、惜しくもトータル219の4位に終った。しかし、後半佐藤の見事な猛チャージは、エビアンにしっかりとその爪痕を残した。
【団体戦】日本は70の佐藤、74の吉行、76の沖田のスコアが採用され、最終日に個人の順位を上げたものの団体の順位は変わらず8位のままだった。1位は男女とも優勝のアメリカが圧勝。初日から安定したスコアのフランスが2位に入り、スイスが3位で大会を終了した。
沖田選手の話
グリーンの傾斜が強く、難しかった。最終日はコースマネジメントをしっかり意識してプレーしたことがベストスコアにつながった。外国の選手とコミュニケーションが出来て会話をするのがとても楽しかった。今後は英語をもっと勉強して話せるように努力したい。
吉行選手の話
日本の代表として上位を目指し準備してきたが、日本とは違う芝の状態や難しいグリーンに苦戦した。これからは飛距離をもっと伸ばしていきたいと思う。海外の選手はとても面白く、楽しかった。今回、海外での試合の雰囲気を知る事が出来たので、この経験を今後に生かしていきたいと思う。
佐藤選手の話
日本との違いはラフが深く、グリーンの傾斜がきついところでした。そんな中、コースに対応してスコアを改善できた事が良かったです。海外の選手全員と友達になりたかったのですが、一部の選手しか友達になれませんでした。もっと英語で会話が出来るようになって、日本の良さを海外の選手に伝えたいと思います。
寺本選手の話
フェアウェイの傾斜やグリーンのアンジュレーションが日本にはないキツさがあった。特に海外の選手はグリーン上での球の転がりが良く、そこに日本との違いを感じた。外国人選手とは身振り手振りでコミュニケーションが取れて楽しかった。もっと練習して色々なライに対して適応力をつけ、英語も身に付けて海外で戦いたいと思った。とてもいい経験になったので、今後に役立てたい。